頭痛は脳の病気が原因で頭痛が生じる場合(二次性頭痛)とそうでない場合(一次性頭痛)があります。二次性頭痛の中にはくも膜下出血など今現在命に関わっている病気もあり、原因となる疾患の治療を早急に進めなければなりません。頭痛の場合に最も重要なことは、「一次性頭痛」なのか「二次性頭痛」なのかを診断することです。

問診や診察である程度一次性頭痛か二次性頭痛かを予想することが出来ますが、必要に応じて画像検査を行うことで原因の特定に役立ちます。

当院での取り組み

当院では頭痛に対しては積極的に画像検査を行っています。CT、MRIを完備しており基本的に即日検査、即日説明をしています(受診された時間やその日の混み具合によっては、翌日以降に検査を予定することもあります)。

二次性頭痛が認められた場合は原因疾患により、必要であれば総合病院へ紹介したり、当院で適切な投薬治療をするなど対処しています。また一次性頭痛の場合は頭痛のタイプを診断し、適切な鎮痛薬や予防薬を処方しています。


⚠️ 危険な頭痛・見逃してはいけない頭痛

頭痛の中には、緊急対応が必要な疾患のサインとなるものがあります。「突然始まる今までにない激しい頭痛」「発熱と首のこわばりを伴う頭痛」「手足のしびれや麻痺を伴う頭痛」などは、くも膜下出血・髄膜炎・脳卒中など重篤な疾患の可能性があり、速やかな受診が必要です。

頭痛のほとんどは片頭痛や緊張型頭痛などの一次性頭痛であり、命に関わるものではありません。しかし、脳や頭蓋内の重篤な疾患が頭痛として現れる二次性頭痛が含まれることがあり、最初は「いつもの頭痛」と区別がつきにくいケースもあります。頭痛診療ガイドライン(日本頭痛学会)でも、「新しい頭痛」「これまでと異なる頭痛」「突然始まった頭痛」に対しては、積極的に画像検査(MRI・CT)を検討することが推奨されています。

特に注意が必要なのは、発症してからピークに達するまでが数秒以内の「雷鳴頭痛」、発熱と項部硬直(首が硬くて前に倒せない)を伴う頭痛、神経症状(しびれ・麻痺・言語障害・視野障害)を伴う頭痛、そして50歳以降に初めて現れた新しい頭痛です。これらはいずれも二次性頭痛を強く疑わせるサインとされています。

どのような頭痛が危険なのか、受診のタイミングの目安について詳しく解説しています。

一次性頭痛

一次性頭痛の場合は比較的時間をかけて治療することが可能です。一次性頭痛でも痛みがあまりにも強く普通の生活ができない場合(学校に行けない、勉強ができない、遊びに行けない、仕事に集中できない、家事が困難など)は、鎮痛薬を使用して生活水準を下げないようにします。頭痛の性状によって使用する鎮痛薬が異なりますので、どのくらいの頻度で、どのような頭痛がおきたか、頭痛以外に吐き気や、目の症状が無いか、などが重要な情報です。また、鎮痛薬を使い過ぎるとむしろ痛みに過敏になり、薬物に依存してしまう状態(薬剤の使用過多による頭痛=薬物乱用性頭痛)になる可能性があるので、適切な量を使用することが大切です。

一次性頭痛であれば、基本的には脳の重大な病気ではないので、頻繁に脳の検査をする必要はありません。しかし、いつもと違う性状の頭痛が生じた場合は、まったく新しい病気を発症している可能性がありますので(二次性頭痛を発症した可能性がある)再度検査を行う必要があります。

片頭痛

名前からよく混乱されますが、片側におきる頭痛の全てが片頭痛というわけではありません。
片頭痛はある一連の症状の経過をたどる頭痛の発作です。典型的には

  • ギザギザとした光や虹色の模様などが見える、よく見えない黒い部分が出現する(閃輝暗点)
  • むかむかとしてくる。吐くこともある
  • 非常に強い頭痛が片側に起きる。頭痛はズッキンズッキンと拍動する。
  • 発作中は光、音、臭いに過敏になる。発作中は暗くて静かなところでじっとしていたくなる
  • 痛みが強く動けない
  • 4時間から3日間程度で勝手に治る
  • この一連の発作が月に2,3回程度出現する

このような特徴がある場合は片頭痛の可能性が高いです。これらの特徴がすべて当てはまることは少なく、閃輝暗点がない場合や、光過敏がない場合、発作の頻度がもっと多い場合や少ない場合など様々です。頭痛が非常に軽い場合は通常の鎮痛薬でもある程度抑えられることもありますが、基本的には激しい頭痛を伴うことが多く、その場合は片頭痛用の特殊な急性期治療薬を使います。また発作の頻度が多い場合は発作自体を減らす予防薬を使うこともあります。

緊張型頭痛

肩こりからくる頭痛と呼ばれているもので、頭痛の患者さんの多くはこの頭痛と言われています。肩こりは肩の筋肉が凝っているものです。色々な肩の筋肉がありますが、そのうちのいくつかは後頭部までつながっています。肩こりがあると後頭部が張っているような感じ、後頭部が重たい感じ、こめかみが締め付けられるような感じなど様々な頭痛が起きることがあります。

緊張型頭痛は脳の異常信号ではありませんので、時間をかけて鎮痛薬の調整を行うことが出来ます。肩こりが改善すればよくなることもありますが、実際に肩こりを治すことは難しく、鎮痛薬を適宜使いながら頭痛とうまく付き合っていくことになります。薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用性頭痛)とならないよう注意しながら長い目で頭痛とうまく付き合っていきましょう。

群発頭痛

非常に強い頭痛が片側の目の周りからこめかみ辺りに出現し、15分から3時間程度で無くなります。同時に目が充血したり、涙が出たり、鼻がつまったり、鼻水が出たりします。あまりにも強い痛みのため、のたうち回る方もいます。発作は2日に1回から1日に何回も起きることもあります。天候に左右されることもあり、繰り返す(反復性)場合は、毎年決まった時期に2週間から3か月間程度頭痛発作を繰り返します。

通常の鎮痛薬はほとんど効果がなく、頭痛発作時には特殊な急性期治療薬の注射薬や内服薬、酸素吸入を行うことで頭痛は改善しますが、発作期間中は何度も頭痛発作がおきますので、ステロイドや不整脈の薬などで発作自体を予防をします。

その他の頭痛トピック

頭痛には、片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛といった代表的な疾患の分類に加えて、性別・年齢・薬の使用状況・生活習慣など、個々の背景に応じて異なる対応が必要なテーマがあります。ここでは、日常診療でよくご相談いただく頭痛に関するトピックをまとめています。

女性の頭痛は、月経・妊娠・更年期などのライフステージに伴うホルモン変動と深く関わっており、同じ片頭痛であっても男性とは異なるアプローチが必要になることがあります。また、頭痛が毎日のように続く慢性頭痛や、市販薬の使いすぎが原因で頭痛が悪化する薬物乱用性頭痛は、「体質だから仕方ない」と諦めている方も多いですが、適切な診断と治療で改善できることが少なくありません。頭痛のセルフケアについても、日常生活の中でできることをまとめています。

女性の頭痛

片頭痛は女性が男性の約3倍多いとされており、女性ホルモン(エストロゲン)の変動が大きく関係しています。月経前後に繰り返す頭痛(月経関連片頭痛)・PMS(月経前症候群)に伴う頭痛・更年期における頭痛の変化など、女性特有の頭痛のパターンがあります。また、低用量ピルと頭痛の関係についても注意が必要な点があります。

女性の頭痛の特徴と対処法について詳しく解説しています。


薬物乱用性頭痛(薬剤の使用過多による頭痛)

市販の鎮痛薬やトリプタン製剤を使いすぎることで、頭痛が慢性化する状態を「薬物乱用性頭痛(薬剤の使用過多による頭痛)」といいます。国際頭痛分類第3版(ICHD-3)において独立した頭痛疾患として分類されており、慢性頭痛の重要な原因の一つとされています。

「以前より薬が効かなくなってきた」「朝起きると頭が痛い」「薬を飲まないと頭痛が始まる」という方は、この状態になっている可能性があります。自己判断での急な中止は症状を悪化させることがあるため、必ず専門医の指導のもとで対処することが重要です。


慢性的に続く頭痛

頭痛が月に15日以上・3カ月を超えて続く状態を「慢性頭痛」といいます。日本では成人の約3%が慢性頭痛の状態にあるといわれています。慢性頭痛は一つの独立した疾患ではなく、片頭痛・緊張型頭痛などが慢性化した状態の総称です。「頭痛のない日が少ない」「毎日のように頭が重い」という方は、慢性頭痛の状態になっている可能性があります。

慢性頭痛は適切な診断と予防療法により、頭痛の頻度・強さを改善できることが多くあります。「慢れてしまっているから仕方ない」と諦めずに、専門医への相談をお勧めします。

頭痛のセルフケアと検査について

頭痛の治療は薬物療法だけではありません。生活習慣の見直し・誘発因子の管理・頭痛ダイアリーの活用など、日常生活の中でできることが頭痛の改善に大きく関わります。また、MRI・CT検査がどのような場合に必要で、どのような情報が得られるかについても解説しています。

二次性頭痛

くも膜下出血、脳内出血や硬膜下血腫などの出血、脳腫瘍、下垂体卒中、髄膜炎、脳炎、脳膿瘍、てんかんなどの脳の疾患が原因で頭痛がおきることがあり、これを二次性頭痛といいます。原因疾患によっては早期に治療が必要な場合があり、当院でこれらが疑われた場合はこれらの病気を治療できる病院を紹介します。

また、緑内障や副鼻腔炎など眼科や耳鼻咽喉科での診療が必要な病気からも頭痛が起きることがあり注意が必要です。

くも膜下出血 - 最も危険な頭痛

数ある二次性頭痛の中でも最も危険な疾患はくも膜下出血です。典型的には突然の激しい頭痛(頭痛が出現してからピークになるまでに数秒しかかからない)で、「ハンマーで殴られたような頭痛」、「雷鳴頭痛」などとも言われます。くも膜下出血を発症すると、たとえ今現在元気だとしても突然命を失う可能性があるため、早急に手術が行える病院に搬送し、適切な検査、治療を受ける必要があります。非常に危険な病気なので、このような頭痛が出現した場合は早急に医療機関を受診しましょう。判断が非常に難しいのですが、「ハンマーで殴られたような頭痛」や「雷鳴頭痛」ではなくてもくも膜下出血を発症していることがありますので、このような激しい頭痛ではないからといってくも膜下出血ではないとは言い切れません。いつもと性質の異なる頭痛が出現したら脳の検査を行いましょう

頭痛の診療でもっとも重要なことは、まずくも膜下出血でないことを確認することです。当院でくも膜下出血が確認された場合は早急に搬送先の病院を探してご紹介します。また医師から直接先方の医師に情報を伝えます。

三叉神経痛

片側の顔面にビリッと電気が一瞬走るような痛みを感じます(電撃痛といいます)。目の下あたりから耳の方に向かって、あるいは下の顎から耳の方に向かっておきることが多いですが、まれに額におきることもあります。痛み自体は一瞬で生じて一瞬で無くなります。安静にしていれば痛むことはなく、会話、歯磨き、洗顔、ものを食べる、といったことが誘因となり痛みます。顔面の感覚をつかさどる三叉神経に血管が接触することで症状が出現します。まれに脳腫瘍などほかの病気で症状がでることがありますので脳の検査が必要になります。カルバマゼピン(テグレトール、てんかんの薬)がよく効きますのでまずは内服で様子を見ますが、効果が乏しい場合や薬の副作用などで内服できない場合には放射線治療(ガンマナイフ)や手術を検討します。

緑内障

緑内障の発作で目が急激に痛くなり、頭痛も同時に感じることがあります。脳の検査も重要ですが、緑内障の急激な発作の場合は視力や視野に障害が残る可能性があるため早急に治療を行う必要があります。目の痛みがある場合は早めに眼科を受診しましょう。もちろん頭痛もある場合は二次性頭痛の可能性がありますので脳の検査についても考える必要があります。

副鼻腔炎

副鼻腔炎がひどくなると炎症が広がり、頭痛を引き起こすことがあります。あまりにも副鼻腔炎がひどくなりすぎると、感染が脳にまで影響する可能性もありますので、場合によってはきちんと副鼻腔炎を治療する必要があります。特に眉間を中心とした頭痛、またその部分が赤く腫れている場合は副鼻腔炎による頭痛の可能性がありますので医療機関を受診しましょう。この場合は脳神経外科だけではなく耳鼻咽喉科の受診も必要です。

帯状疱疹

帯状疱疹は、水ぼうそうと同じウイルスが皮膚の神経に痛みを起こす病気です。体中のどこの皮膚の神経にも発症する可能性があります。左右どちらかの神経に沿って、痛みや嫌なぴりぴりする感じとともに赤いブツブツとした水ぶくれが出ます。頭の皮膚にも発症することがあり、これを頭痛として自覚します。頭皮の中の発疹を自分で見つけることはなかなか難しく、脳の病気が心配で来院される患者さんの中に、たまに頭皮の帯状疱疹が見つかることがあります。帯状疱疹は放置しておくと、強い痛みがずっと残る「帯状疱疹後神経痛」になってしまうことがあります。早期に診断し、早期に抗ウイルス薬を始めることが大切です。

❓ よくあるご質問

一次性頭痛と二次性頭痛はどう違いますか?

一次性頭痛は頭痛そのものが疾患であり、片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛などがこれにあたります。二次性頭痛はくも膜下出血・脳腫瘍・髄膜炎など、脳や頭蓋内の疾患が原因で生じる頭痛です。頭痛診療において最も重要なことは、まずこの二つを鑑別することです。

片頭痛と緊張型頭痛はどう違いますか?

片頭痛はこめかみや目の奥がズキズキと脈打つ拍動性の痛みで、吐き気・光過敏・音過敏を伴い動くと悪化します。緊張型頭痛は頭全体が締め付けられる重だるい痛みで、吐き気は伴わず動いても悪化しません。自己判断は難しいため、正確な診断には専門医の診察が必要です。

頭痛が片側だけに起きると片頭痛ですか?

必ずしもそうではありません。「片頭痛」という名称から片側の頭痛と思われがちですが、両側に起きる片頭痛もあります。一方で片側の頭痛でも緊張型頭痛や群発頭痛のことがあります。頭痛の部位だけでなく、痛みの性質・随伴症状・持続時間などを総合的に評価して診断します。

どんな頭痛が危険ですか?救急受診の目安を教えてください。

突然始まる今までにない激しい頭痛(雷鳴頭痛)・手足のしびれや麻痺を伴う頭痛・発熱と首の硬直を伴う頭痛・意識が遠のく頭痛は、くも膜下出血・髄膜炎・脳卒中などの可能性があり、速やかに救急受診が必要です。50歳以降に初めて現れた新しい頭痛も要注意です。

いつもと違う頭痛が起きました。すぐ受診すべきですか?

はい、早めの受診をお勧めします。「いつもと違う頭痛」は二次性頭痛のサインである可能性があります。頭痛診療ガイドライン(日本頭痛学会)でも「新しい頭痛」「これまでと異なる頭痛」に対しては積極的に画像検査(MRI・CT)を検討することが推奨されています。

MRIで異常なしと言われましたが、頭痛が続いています。どうすればよいですか?

MRIで異常がない場合、「画像で見える異常はない=片頭痛や緊張型頭痛などの一次性頭痛の可能性が高い」という重要な情報になります。一次性頭痛であれば、適切な診断と治療薬・予防薬の調整で改善が期待できます。頭痛が続く場合は頭痛専門医への相談をお勧めします。

市販の鎮痛薬を飲み続けると何が起きますか?

市販の鎮痛薬を月に10〜15日以上使い続けると、薬そのものが頭痛を引き起こす「薬物乱用性頭痛(薬剤の使用過多による頭痛)」に移行することがあります。「以前より薬が効かなくなった」「朝起きると頭が痛い」という方はこの状態になっている可能性があり、専門医への相談が必要です。

片頭痛の予防薬はどのような場合に使いますか?

頭痛診療ガイドライン(日本頭痛学会)では、月に一定回数以上の発作がある・急性期治療薬が効きにくい・生活への影響が大きいなどの条件を満たす場合に予防薬の導入が推奨されています。従来の予防薬で効果が不十分な場合には、CGRP関連製剤(エムガルティ・アジョビ・アイモビーグ)も選択肢となります。

CGRP抗体製剤とは何ですか?従来の予防薬と何が違いますか?

CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)は片頭痛発作に深く関わる物質です。CGRP関連製剤はこれを標的にした最新の片頭痛予防注射薬で、月1回または3カ月に1回の投与で発作の頻度を大幅に減らすことが期待できます。従来の予防薬と異なり片頭痛に特化して開発されており、従来の治療で効果が不十分だった方にも有効なケースがあります。

CGRP受容体拮抗薬(ゲパント系薬)とは何ですか?

CGRP受容体拮抗薬(ゲパント系薬)は、CGRPが結合する受容体を低分子化合物で阻害することで片頭痛発作を抑える薬剤です。リメゲパント・アトゲパントが保険診療で使用可能です。アトゲパントは予防薬としてのみ使用可能です。リメゲパントは予防薬としてのみではなく、急性期治療薬としても使用可能です。トリプタン製剤と異なり血管収縮作用がないため、心血管疾患リスクがある方やトリプタンが使えなかった方への選択肢として期待されています。

頭痛ダイアリーとは何ですか?どんなメリットがありますか?

頭痛の発症日時・持続時間・強さ・随伴症状・薬の使用状況・生活状況などを記録するものです。頭痛診療ガイドラインでも活用が推奨されています。頭痛のパターンや誘発因子の把握・薬の使用頻度の確認・受診時の情報提供に役立ちます。初診時に持参いただくと診察がよりスムーズになります。

頭痛専門外来
診療時間・担当医

院長

工藤 琢巳

日本頭痛学会専門医

日本脳神経外科学会専門医

日本脳卒中学会専門医

診療時間
9~12時×
15~18時×××

  ◎ 理事長  ● 院長 〇 科学大学

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工藤脳神経外科クリニック
院長 工藤琢巳
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